30代の会社員Bさんは、1日10時間以上パソコンに向かう生活を数年続けていました。当初は単なる肩こりだと感じていた違和感が、次第に首の根元の重苦しい痛みに変わり、ついには頭痛や眼精疲労、集中力の欠如にまで発展しました。仕事に支障が出るようになったため、Bさんは意を決して整形外科を受診しました。そこで告げられた診断名は「ストレートネック」でした。本来、緩やかにカーブしているはずの頸椎が、長時間の前かがみ姿勢によって真っ直ぐになってしまい、首の筋肉に過度な負担がかかり続けている状態です。Bさんは医師から、首の痛みは単に首だけの問題ではなく、姿勢を保持する全身のメカニズムの崩れから来ていることを説明されました。治療の柱となったのは、リハビリテーション科での理学療法でした。Bさんは週に2回、理学療法士によるマンツーマンのセッションを受け、自分の体の癖を一つずつ見直していきました。リハビリを通じて得た最大の気づきは、「首を動かさずに固定しようとするほど、逆に痛みは悪化する」という点でした。痛みを恐れて首を硬直させていたBさんでしたが、リハビリでは首そのものではなく、胸椎の柔軟性や腹筋の安定性を高めるエクササイズが中心となりました。土台である体幹が安定することで、首は自然と正しい位置に収まり、余計な緊張から解放されるのです。また、理学療法士からは仕事環境の具体的な改善案も提示されました。モニターの高さを目線の位置に合わせること、キーボードを肘が90度になる位置に置くこと、そして1時間に1回は必ず立ち上がって「肩甲骨はがし」の運動をすること。これらは一見些細なことに思えますが、毎日数時間繰り返す動作だからこそ、その蓄積が首の痛みを解消する鍵となります。Bさんはリハビリを始めて3ヶ月が経過した頃、首の痛みだけでなく、長年悩んでいた頭痛からも解放されました。彼は今、首の痛みがあった期間を「自分の働き方と体への向き合い方を修正するための貴重なレッスン期間だった」と振り返ります。首の痛みで整形外科を受診することは、単に痛みを取るだけでなく、自分の体の取扱説明書を手に入れるようなプロセスです。Bさんの事例は、慢性的な痛みに悩む多くの現代人にとって、専門的なリハビリがいかに人生の質を向上させるかを示す、希望あるモデルケースと言えるでしょう。首の痛みをきっかけに、自分のライフスタイルそのものを健やかな方向へとアップデートしていく姿勢こそが、再発を防ぐ唯一の道なのです。
デスクワークで首を痛めた会社員が整形外科のリハビリで得た気づき