溶連菌感染症や猩紅熱は一般的に「子供の病気」というイメージが強いですが、大人が感染しないわけではありません。むしろ、大人が感染した場合には、子供よりも症状が重く出たり、診断が遅れたりすることで社会生活に大きな支障をきたすリスクがあります。大人が感染する主な経路は、家庭内での子供からの二次感染です。子供の看病をしているうちに、喉の違和感や急激な悪寒を感じ、数時間後には身動きが取れないほどの高熱に見舞われるというのが典型的なパターンです。大人における溶連菌感染症も、基本的には激しい喉の痛みが主症状ですが、まれに猩紅熱のような発疹を伴うこともあります。しかし、大人の場合は皮膚が子供よりも厚いため、ザラザラとした質感よりも、皮膚全体が赤黒く腫れ上がったり、激しい痒みを伴ったりすることがあり、他の薬疹やアレルギーと見分けがつきにくいことがあります。また、大人が猩紅熱の病態を呈する場合、それは体内の毒素に対する免疫がない、あるいは極端に低下していることを意味しており、劇症型に移行しないか慎重な観察が必要です。仕事への影響も深刻です。溶連菌は非常に感染力が強く、特に急性期には咳やくしゃみを介して飛沫感染します。大人が感染した場合、職場で集団感染を引き起こす可能性があるため、医師から処方された抗菌薬を飲み始め、熱が下がってから24時間以上経過するまでは出勤を控えるのが社会的なマナーです。しかし、忙しいビジネスパーソンの中には、熱が下がるとすぐに無理をして仕事に戻ろうとする人がいますが、これは非常に危険です。溶連菌は非常にしぶとい細菌であり、不十分な休息や服薬の中断は、前述したリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった合併症を大人でも引き起こします。特に大人の糸球体腎炎は、慢性化して人工透析が必要になるリスクもゼロではありません。また、喉の痛みを「ただの疲れ」と思って放置し、市販の風邪薬で誤魔化しているうちに、周囲の組織に膿が溜まる扁桃周囲膿瘍に発展し、切開手術が必要になるケースも散見されます。さらに、大人特有の悩みとして、抗菌薬による胃腸障害や、ペニシリンアレルギーの出現なども考慮しなければなりません。もし子供が溶連菌や猩紅熱と診断されたら、親も「自分は大丈夫」と過信せず、喉に少しでも違和感があれば早めに内科を受診し、溶連菌の検査を受けるべきです。大人が健康を守ることは、家族を守り、職場を守ることにも直結します。猩紅熱という言葉に馴染みがない世代であっても、それが強力な溶連菌感染症の一形態であることを認識し、子供以上に慎重な姿勢で治療に臨むことが、最速で社会復帰するための唯一の近道となるのです。
大人が溶連菌や猩紅熱にかかった時のリスクと社会生活への影響について