30代半ば、仕事の責任が重なり始めた頃、私の体に異変が起き始めました。最初は単なる疲れだと思っていましたが、次第に夜眠れなくなり、朝起きると激しい動悸に襲われるようになったのです。鏡で見ても顔色は悪く、立っているだけでめまいがする日もありました。真っ先に思い浮かんだのは心臓の病気です。私は震える手で循環器内科を予約し、心電図やエコー検査を受けました。しかし、医師から告げられたのは「心臓には全く異常ありません。少し疲れが溜まっているのでしょう」という言葉でした。安堵したのも束の間、症状は一向に治まりません。次に私は脳外科へ行き、MRIを撮りましたが、そこでも「脳もきれいです」と言われるだけでした。どの科に行っても異常が見つからないという現実は、私を深い孤独感と不安に突き落としました。私は「自分は怠けているだけなのか」「気のせいなのか」と自分を責めるようになりましたが、体は確実に悲鳴を上げていました。そんなとき、友人に勧められたのが心療内科でした。それまで私は、心療内科という場所に対して「心が弱い人が行く場所」という偏見を抱いていました。しかし、もう背に腹は代えられない思いで門を叩いたのです。初診で医師は、私のこれまでの経緯をじっくりと聞いてくれました。体の検査データは正常でも、自律神経のバランスが著しく崩れていることを、様々な質問を通じて明らかにしていきました。自律神経失調症という診断を受けたとき、私は不謹慎にもホッとしたのを覚えています。自分の不調に名前がつき、それが気のせいではないと専門家に認められたからです。心療内科での治療は、決して薬を飲むだけではありませんでした。自分の完璧主義な性格がどれほど自律神経に負担をかけていたか、休息を取ることの重要性を学び、生活リズムを整える指導を受けました。治療を始めて3ヶ月ほど経った頃、あんなに私を苦しめていた動悸が、いつの間にか消えていることに気づきました。私の体験から言えるのは、体が発するシグナルは嘘をつかないということです。内科や整形外科で異常がないと言われたとき、それは決して「健康である」という証明ではなく、次のステップである心療内科への案内板なのだと捉えてほしいのです。自律神経失調症を扱う診療科は、あなたの体の声を翻訳し、元の健やかな状態へと導いてくれる大切なパートナーです。一人で苦しまず、専門の窓口を頼る勇気が、私の人生を再び明るいものに変えてくれました。
原因不明の体調不良に悩んだ私が心療内科に辿り着くまでの全記録