40代半ばに差し掛かった頃、私の生活に忍び寄ってきたのは、言葉では言い表せないほどの「渇き」でした。最初はコンタクトレンズの調子が悪いのかと思い、眼科を受診しましたが、目薬を処方されてもゴロゴロした異物感は消えませんでした。同時期に、夜中に口の中がカラカラになって目が覚めるようになり、クラッカーやパンなどの乾いた食べ物が、水なしでは飲み込めないという異変が起きました。鏡を見ると舌はひび割れたように赤く、以前のような潤いはどこにもありませんでした。歯科に行けば「唾液が少ないですね」と言われ、眼科に行けば「ひどいドライアイです」と言われる。それぞれの場所で対処療法は受けるものの、自分の体全体が砂漠化していくような感覚に、私は言いようのない不安と孤独を感じていました。何かがおかしい、そう確信した私がインターネットで検索を繰り返し、ようやく辿り着いたのが「シェーグレン症候群」という聞き慣れない病名でした。そして、それを診てくれるのが膠原病内科であることを知り、大きな病院を予約しました。初診の日、医師は私の話をじっくりと聞き、血液検査や唇の裏の小さな唾液腺を採取する生検を行いました。数週間後、正式にシェーグレン症候群であると告げられたとき、ショックよりも先に「ようやく原因が分かった」という安堵感が込み上げてきました。それまでの不調が、決して自分の気のせいでも、単なる加齢のせいでもなく、免疫の異常という確かな理由に基づいていたことが証明されたからです。治療が始まってからは、唾液の分泌を促す薬や、涙を補う専用の点眼薬を使い、生活環境も加湿を徹底するように変えました。関節の痛みや強い倦怠感といった、乾燥以外の症状についても、膠原病内科の先生が親身に相談に乗ってくれました。この病気は完治が難しいと言われていますが、専門の診療科に定期的に通い、自分の状態を客観的な数値で把握し続けることで、以前のような絶望感はなくなりました。シェーグレン症候群と付き合う上で最も大切なのは、局所的な症状に振り回されず、全身を診てくれる専門医と繋がっているという安心感です。もし、今この文章を読んでいるあなたが、あちこちの診療科を回っても解決しない渇きに悩んでいるのなら、勇気を出して膠原病内科を受診してほしいと思います。適切な科に辿り着くことが、あなたの体という砂漠に、再び潤いをもたらす唯一の道になるのですから。
目の乾きと口の渇きから始まった私のシェーグレン症候群闘病記