全ての始まりは、健康のためにと、一念発起して始めた、朝のジョギングでした。運動不足だった体に、少しずつ活力が戻ってくるのを感じ、私は走る楽しさに、すっかり夢中になっていました。しかし、その喜びは、長くは続きませんでした。走り始めて一ヶ月ほど経った頃から、朝、ベッドから降りた最初の一歩で、右のかかとに、まるで画鋲を踏んだかのような、鋭い痛みが走るようになったのです。最初は、筋肉痛の一種だろうと、軽く考えていました。しかし、その痛みは、日を追うごとに、より鋭く、より持続的になっていきました。朝の一歩目だけでなく、デスクワークで長時間座った後に、立ち上がった瞬間にも、同じ激痛が襲ってくる。走っている最中も、かかとが地面に着地するたびに、鈍い痛みが響く。私の足は、いつしか、時限爆弾のような、不安定な存在になっていました。それでも、「走るのをやめたら、また元の運動不足の自分に戻ってしまう」という恐怖から、私は痛みを我慢し、だましだましジョギングを続けてしまったのです。それが、事態をさらに悪化させる、最悪の選択でした。ある日の朝、私は、もはや歩くことさえままならないほどの、激烈な痛みに襲われ、その場にうずくまってしまいました。ついに観念した私は、近所の整形外科の門を叩きました。レントゲン検査の後、医師から告げられた病名は、「重度の足底腱膜炎」。そして、私の走り方が、足に過剰な負担をかけるフォームであったこと、そして履いていた靴が、クッション性の低い、ランニングには不向きなものであったことを、厳しく指摘されました。その日から、私の治療とリハビリの日々が始まりました。ジョギングは、もちろんドクターストップ。処方された湿布と痛み止め、そして、理学療法士の指導のもと、足の裏やふくらはぎの筋肉を、地道にストレッチし続ける毎日。痛みが完全に消えるまでには、実に三ヶ月以上の時間がかかりました。この苦い経験を通じて私が学んだのは、何事も、やりすぎは禁物であるということ。そして、自分の体を過信せず、小さな痛みというサインに、もっと早く耳を傾けるべきだった、という深い後悔でした。
私が足底腱膜炎の激痛と戦った話