地域のクリニックで日々多くの患者を診察している医師の視点からすると、患者が訴える喉の痛みを聞いただけで、それが一般的なウイルス性の風邪なのか、それとも溶連菌によるものなのか、ある程度の予測がつくと言います。医師が最も注目するのは、喉の痛みの質とその周辺症状の有無です。通常の風邪であれば、喉のイガイガ感と共に、くしゃみや鼻水、軽い咳といった複数の症状がグラデーションのように現れますが、溶連菌の場合は、喉の痛みという一点が際立って強調されます。診察室で口を開けてもらうと、溶連菌の患者の喉は、まるで真っ赤な絵の具を塗ったように鮮やかで、扁桃腺には特有の偽膜と呼ばれる白い付着物が見られることが多く、これはウイルス感染ではあまり見られない光景です。また、医師は患者の顔色や皮膚の状態も鋭く観察しています。顔が赤く火照っているのに鼻水が出ていない場合や、首のリンパ節がアーモンドのように腫れている場合は、即座に迅速検査を準備します。医師が最も危惧するのは、患者が喉の痛みという苦痛から逃れることだけを考え、除菌という本来の目的を忘れてしまうことです。抗生物質を飲むと驚くほど早く喉の痛みが引くため、多くの患者が治ったと錯覚してしまいますが、医師にとってはそこからが本当の治療の始まりなのです。体内に残った溶連菌が、再び増殖を始めたり、毒素を出し続けたりしないように、細胞壁を破壊し続ける必要があります。そのため、診察の最後には必ず、症状が良くなっても絶対に薬を止めないでください、と念を押すことになります。また、大人の場合は再発も多く、一度しっかりと除菌しておかないと、免疫力が落ちた際に何度も同じ激痛に悩まされることになります。喉の痛みを単なる一時的な不調と捉えるのではなく、細菌という異物との戦いであると認識し、医師の伴走のもとで最後まで戦い抜く姿勢が、再発や合併症を防ぐための唯一の鍵となるのです。