お子さんやご自身がマイコプラズマ肺炎と診断され、処方された薬を飲んでいるにもかかわらず、一向に熱が下がらない。そんな状況に置かれると、本当にこの治療で合っているのか、何か重い病気が隠れているのではないかと、大きな不安に駆られることでしょう。マイコプラズマ肺炎で高熱が長引くのには、実は明確な理由が存在します。その最大の要因として近年問題視されているのが、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」の存在です。マイコプラズマ肺炎の治療には、第一選択薬としてマクロライド系の抗生物質が広く用いられてきました。しかし、この薬が多用された結果、マクロライドが効かない耐性を持つマイコプラズマ菌が非常に増えているのです。特に小児では、その割合が八割から九割に達するとも言われています。もし感染した菌がこの耐性菌だった場合、処方されたマクロライド系の薬を飲んでも、体内で菌は増殖を続け、熱もなかなか下がりません。これが、解熱剤で一時的に熱が下がっても、薬が切れると再び高熱に戻るという状態を繰り返す原因です。また、マイコプラズマという病原体自体の特性も、熱が長引きやすい一因です。この菌は細胞壁を持たない特殊な構造をしており、一般的な細菌とは異なる性質を持っています。そのため、人の免疫システムが反応しにくく、体内でしぶとく生き残ることがあります。体が菌を排出しようと戦い続ける結果、炎症反応が長く続き、発熱という症状が長引いてしまうのです。治療を開始して三日ほど経っても解熱の兆しが見られない場合は、薬剤耐性菌の可能性を念頭に置き、処方してくれた医師に速やかに相談することが極めて重要です。