検診・予防接種・健康管理の総合案内

2025年8月
  • 手足口病は一度かかればもううつらない?再感染の可能性

    知識

    「うちの子は、去年、手足口病にかかったから、もううつらないはず」と考える保護者の方は少なくありません。確かに、麻疹やおたふくかぜのように、一度かかれば生涯免疫がついて二度とかからない感染症もあります。しかし、残念ながら、手足口病はこの原則に当てはまりません。手足口病は、一度かかっても、再びかかる可能性がある病気なのです。その理由は、手足口病の原因となるウイルスが、一種類ではないことにあります。手足口病は、主に「エンテロウイルス」というグループに属する、多数のウイルスによって引き起こされます。代表的な原因ウイルスとして、「コクサッキーウイルスA6、A10、A16」や、「エンテロウイルス71(EV71)」などが知られていますが、これら以外にも原因となりうるウイルスはたくさん存在します。ある型のウイルス(例えばコクサッキーウイルスA16)に感染して手足口病を発症すると、そのA16型に対する免疫(抗体)は獲得できます。そのため、次に同じA16型ウイルスが体内に入ってきても、発症を防ぐことができます。しかし、この免疫は、別の型のウイルス(例えばコクサッキーウイルスA6やエンテロウイルス71)に対しては、十分に効果を発揮しません。つまり、去年A16型の手足口病にかかったとしても、今年はA6型の手足口病にうつってしまう、ということが起こり得るのです。夏ごとに流行するウイルスの型が異なることも多く、そのため、子どもによっては、毎年のように手足口病にかかってしまうケースも見られます。また、同じシーズン中に、異なる型のウイルスに続けて感染することさえあります。このように、手足口病は何度もかかる可能性があるため、「一度経験したから安心」という油断は禁物です。原因となるウイルスには特効薬もなく、予防接種(ワクチン)も現在のところ実用化されていません。したがって、流行シーズンには、どの型のウイルスが流行していようとも、感染しない・させないための基本的な予防策、すなわち「石鹸と流水による徹底した手洗い」と「排泄物の適切な処理」を、粘り強く、そして繰り返し実践することが、子どもを感染から守るための唯一かつ最も重要な方法となるのです。

  • 病院で行われる診断の流れ、耳鼻咽喉科での検査とは

    医療

    熱のない耳下腺の腫れで「耳鼻咽喉科」を受診した場合、医師は原因を特定するために、どのような診察や検査を行うのでしょうか。その一連の流れを知っておくことで、安心して診察に臨むことができます。まず、診断の基本となるのが、患者さんからの詳しい「問診」です。医師は、「いつから、どちら側が腫れていますか?」「腫れは大きくなっていますか?」「痛みや熱はありますか?」「食事の時に症状が強くなることはありますか?」「口や目の乾き、他の体の不調はありますか?」といったことを詳しく質問します。症状の経過や伴う症状が、原因を推測する上で非常に重要な手がかりとなります。次に、「視診」と「触診」が行われます。医師は、耳の下から顎にかけての腫れの範囲や硬さ、表面の状態、赤みや熱感の有無を、目で見て、そして手で触れて確認します。また、口の中を観察し、耳下腺の唾液の出口である「耳下腺乳頭(頬の内側、上の奥歯のあたり)」が赤く腫れていないか、そこを圧迫して膿や異常な唾液が出てこないかをチェックします。この段階で、炎症性の疾患か、腫瘍性の疾患か、ある程度の見当がつきます。さらに、より客観的な評価のために、いくつかの検査が行われます。まず、ほとんどのケースで実施されるのが「超音波(エコー)検査」です。これは、ゼリーを塗った皮膚の上から超音波の出る機械を当てる、体に全く負担のない検査です。耳下腺内部の状態をリアルタイムで観察でき、腫れが全体的な炎症によるものか、限局したしこり(腫瘍)なのか、あるいは唾石や膿の塊があるのか、といったことを詳細に評価することができます。唾石症や腫瘍が疑われる場合には、さらに詳しく調べるために「CT検査」や「MRI検査」といった画像検査が追加されることもあります。これらは、腫瘍の正確な位置や大きさ、周囲の組織との関係を立体的に把握するのに役立ちます。原因としてシェーグレン症候群などの自己免疫疾患が疑われる場合には、自己抗体の有無などを調べるための「血液検査」が行われます。そして、腫瘍が疑われる場合には、診断を確定させるために、細い針でしこりの細胞を採取する「穿刺吸引細胞診」が行われます。これらの検査結果を総合的に判断し、最終的な診断を下し、それぞれの病気に合った治療方針が決定されるのです。

  • 頭痛やめまいを伴う首の痛み、考えられる原因と診療科

    医療

    首の痛みと共に、頭痛やめまい、吐き気といった症状が現れることは、決して珍しいことではありません。この場合、原因は一つではなく、複数の病態が絡み合っている可能性があり、適切な診療科を選ぶことが重要になります。まず、最も一般的なのが、首の筋肉の過度な緊張が原因で起こる「緊張型頭痛」です。長時間のデスクワークやストレスなどによって、首から肩、後頭部にかけての筋肉がガチガチに硬くなることで、血行が悪化し、頭全体を締め付けられるような、重苦しい頭痛を引き起こします。この場合は、首の筋肉の緊張を和らげることが治療の基本となるため、「整形外科」でのリハビリテーションや、「内科」「脳神経内科」での筋弛緩薬や鎮痛薬の処方が有効です。次に、首の骨(頸椎)の異常が、めまいや頭痛を引き起こすこともあります。これは「頸性めまい」と呼ばれ、頸椎の変形や、首の筋肉の異常な緊張が、平衡感覚に関わる神経や、脳への血流に影響を与えることで生じると考えられています。首を特定の方向に動かすと、めまいやふらつきが誘発されるのが特徴です。この場合も、原因となっている頸椎の問題を評価するために、まずは「整形外科」の受診が第一選択となります。しかし、ここで最も注意しなければならないのが、危険な脳の病気が隠れている可能性です。例えば、「くも膜下出血」や「脳動脈解離」といった病気では、突然の激しい頭痛と共に、首の後ろに強い痛みや硬直を感じることがあります。また、小脳や脳幹の梗塞・出血でも、めまいやふらつき、頭痛、そして首の痛みが同時に現れることがあります。これらの脳血管障害は、命に関わる緊急疾患であり、ろれつが回らない、手足のしびれといった他の神経症状を伴うことが多いのが特徴です。もし、「これまでに経験したことのないような突然の激しい頭痛」や、明らかな神経症状を伴う場合は、直ちに「脳神経外科」のある救急病院を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。このように、頭痛やめまいを伴う首の痛みは、ありふれた筋緊張性のものから、緊急性の高い脳の病気まで、鑑別が非常に重要となります。まずは危険な病気でないことを確認するためにも、脳神経外科・内科での評価を受けることが最も安全な選択と言えます。

  • 冬の定番「インフルエンザ」突然の高熱と関節痛がサイン

    医療

    冬場に、突然38度以上の高熱で発症し、激しい悪寒、頭痛、そして全身の筋肉痛や関節痛といった強い全身症状と共に、咳や喉の痛み、鼻水が現れた場合、まず疑うべき病気が「季節性インフルエンザ」です。インフルエンザウイルスに感染することで引き起こされ、例年12月から3月にかけて大流行します。普通の風邪(感冒)が、喉の痛みや鼻水といった局所症状から比較的ゆっくりと始まるのに対し、インフルエンザは、突然の高熱と、まるで体中がきしむような強い倦怠感や関節痛で、一気に症状がピークに達するのが大きな特徴です。咳も、初期は乾いたコンコンとした咳ですが、後から痰が絡む湿った咳に変化していくこともあります。感染力が非常に強く、学校や職場、家庭内などで急速に感染が拡大します。インフルエンザが疑われる場合、受診すべき診療科は「内科」または「呼吸器内科」です。医療機関では、問診で症状や周囲の流行状況を確認した後、診断のために「迅速診断キット」を用いた検査が行われることが一般的です。これは、鼻の奥や喉の粘液を綿棒で採取し、15分程度でインフルエンザウイルスの有無を判定する検査です。ただし、この検査は発症してから12時間以上経過しないと、ウイルス量が少なく、陽性反応が出にくい(偽陰性となる)ことがあるため、受診のタイミングも重要です。インフルエンザと診断された場合、治療には「抗インフルエンザ薬」(タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなど)が用いられます。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑えることで、発熱期間を1~2日短縮し、症状を和らげる効果があります。ただし、最も効果を発揮するためには、発症後48時間以内に服用を開始する必要があるとされています。その他、咳止めや解熱剤などの対症療法も併用されます。最も重要なのは、安静と十分な水分補給です。高熱によって脱水症状を起こしやすいため、経口補水液やスポーツドリンクなどでこまめに水分を摂るようにしましょう。高齢者や、喘息、心臓病といった持病のある人は、インフルエンザから肺炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクが高いため、特に注意が必要です。予防には、毎年のワクチン接種が最も有効な手段となります。