うだるような暑さが続く夏。多くの人が夏バテや熱中症に気を配りますが、同時に「お腹の不調」、特に「下痢」に悩まされる人が急増する季節でもあります。なぜ、夏になると私たちの胃腸はデリケートになってしまうのでしょうか。その背景には、夏特有の生活習慣や環境が複雑に絡み合っています。夏の不調を乗り切るためには、まずその原因を正しく理解することが不可欠です。夏の主な原因は、大きく分けて4つ考えられます。第一に、「冷たい飲食物の過剰摂取」です。猛暑の中で、つい冷たいジュースやビール、アイスクリームやかき氷などを一気に摂りがちですが、これが胃腸を直接冷やし、消化機能を著しく低下させてしまいます。第二に、「冷房による体の冷えと自律神経の乱れ」です。屋外の炎天下と、キンキンに冷えた室内の急激な温度差は、体温調節を司る自律神経に大きな負担をかけます。自律神経が乱れると、胃腸の正常な蠕動(ぜんどう)運動がコントロールできなくなり、下痢や便秘を引き起こすのです。これは「冷房病(クーラー病)」とも呼ばれます。第三に、高温多湿の環境がもたらす「感染性胃腸炎(食中毒)」のリスク増大です。夏は、サルモネラ菌やカンピロバクターといった細菌が増殖するのに最適な季節です。バーベキューやアウトドアでの食事、作り置きのお弁当など、食品が傷みやすい状況が増えることも、食中毒のリスクを高めます。そして第四に、「寝冷え」です。熱帯夜にエアコンや扇風機をつけたまま寝てしまうことで、知らず知らずのうちにお腹を冷やし、腸の動きが過剰になって下痢を引き起こしてしまいます。これらの原因は、単独で影響することもあれば、複合的に絡み合って胃腸の不調を招くこともあります。この記事シリーズでは、これらの原因を一つずつ掘り下げ、それぞれのメカニズムと具体的な対策について詳しく解説していきます。夏のつらい下痢を予防し、快適な毎日を送るための知識を身につけましょう。
なぜ夏は下痢をしやすい?考えられる4つの主な原因