ヘルパンギーナと診断されたら、医師から処方された薬を使いながら、家庭でのセルフケアと感染対策を並行して行うことが、早期回復と感染拡大防止の鍵となります。まず、最もつらい喉の痛みを和らげるためのケアです。喉の粘膜の乾燥は、痛みを悪化させる大きな要因です。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、部屋の湿度を常に50~60%程度に保つように心がけましょう。また、脱水を防ぐためのこまめな水分補給は不可欠ですが、喉を潤すという意味でも重要です。うがいに関しては、刺激の強いイソジンなどよりも、ぬるま湯や、刺激の少ないうがい薬を使い、優しく口をゆすぐ程度にしましょう。しみて痛がる場合は無理に行う必要はありません。そして、何よりも大切なのが十分な休養です。体を休ませ、免疫力を高めることが、ウイルスと戦うための最大の力となります。次に、非常に感染力が強いヘルパンギーナの家庭内感染を防ぐための対策です。主な感染経路は、咳やくしゃみによる「飛沫感染」、ウイルスが付いた手で口などを触る「接触感染」、そして便に含まれるウイルスによる「糞口感染」です。これらの経路を断つために、まず「石鹸と流水による手洗い」を家族全員で徹底してください。特に、おむつ交換後やトイレの後、食事の前は必須です。アルコール消毒は、ヘルパンギーナの原因ウイルスには効果が低いことがあるため、過信は禁物です。感染者が使ったタオルや食器は、他の家族と完全に分けましょう。タオルの共用は、感染を広げる最大の原因の一つです。また、症状が治った後も、ウイルスは数週間にわたって便から排出され続けます。おむつを処理する際は、使い捨ての手袋を着用し、処理後は必ず手を洗うという習慣を、回復後もしばらく続けることが、見えないウイルスからの感染を防ぐ上で非常に重要です。
喉のケアと家庭での感染対策