検診・予防接種・健康管理の総合案内

2025年9月
  • 脂質異常症の病院では何をする?検査と治療法

    医療

    「脂質異常症で病院に行く」と決めたものの、そこで一体どのような検査が行われ、どんな治療が始まるのか、具体的な流れがわからずに、不安を感じている方もいるかもしれません。ここでは、病院で行われる基本的な検査と治療の流れについて解説します。まず、診察室で最初に行われるのが、丁寧な「問診」です。医師は、あなたの健康診断の結果票を確認しながら、普段の食生活(肉や揚げ物は好きか、野菜は摂れているかなど)、運動習慣、喫煙や飲酒の習慣、そして家族(特に親や兄弟)に心筋梗塞や脳梗塞になった人がいないか(家族歴)といった、生活習慣や遺伝的なリスクについて、詳しく質問します。これらの情報は、治療方針を決める上で非常に重要です。次に行われるのが、身長、体重、腹囲の測定と、血圧の測定といった「身体診察」です。そして、診断の確定と、治療効果の判定のために、再度「血液検査」と「尿検査」が行われます。この血液検査で、脂質異常症の診断基準となる数値を、より正確に再評価します。これらの基本的な検査に加えて、動脈硬化がどの程度進行しているかを調べるための、追加の検査が行われることもあります。その代表的なものが「頸動脈エコー(超音波)検査」です。首の動脈(頸動脈)に超音波を当てるだけの、痛みも被曝もない簡単な検査で、血管の壁の厚さや、プラーク(脂質の塊)の有無を直接観察することができます。これにより、あなたの血管の「実年齢」を知ることができるのです。これらの検査結果を総合的に判断し、医師は治療方針を決定します。脂質異常症の治療の基本、そして第一歩は、薬ではありません。必ず「生活習慣の改善」、すなわち「食事療法」と「運動療法」から始まります。医師や管理栄養士から、具体的な食事の改善点(脂質の多い食品を控える、食物繊維を多く摂るなど)や、ウォーキングなどの有酸素運動の推奨といった、専門的な指導を受けます。そして、この生活習慣の改善を数ヶ月続けても、数値が十分に改善しない場合や、あるいは最初の診断の時点で、心筋梗塞などのリスクが非常に高いと判断された場合に、初めて「薬物療法」が検討されます。治療の主役は、あくまであなた自身の生活習慣の改善です。医師はそのサポーターとして、あなたの健康づくりを伴走してくれるのです。

  • 女性こそ注意!更年期と脂質異常症の関係

    知識

    「若い頃の健康診断では、コレステロール値なんて、全く気にしたこともなかったのに」。そう話す、中高年の女性は少なくありません。それもそのはず、実は、女性の体は、閉経を迎える前の時期まで、脂質異常症、特に高LDL(悪玉)コレステロール血症から、天然の強力な守護神によって守られているのです。その守護神の名は、女性ホルモン「エストロゲン」です。エストロゲンには、血管をしなやかに保ち、内臓脂肪の蓄積を抑えるといった、様々な健康効果がありますが、その中でも特に重要なのが、肝臓におけるLDLコレステロールの分解を促進し、HDL(善玉)コレステロールを増やすという、血液中の脂質バランスを良好に保つ働きです。このエストロゲンの強力な作用のおかげで、閉経前の女性は、同じ年代の男性に比べて、脂質異常症になりにくく、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクも、低く抑えられています。しかし、この守護神の加護は、永遠ではありません。四十代後半から五十代にかけて、多くの女性が迎える「更年期」。この時期になると、卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が、まるでジェットコースターのように、急激に減少していきます。そして、これまでコレステロール値をコントロールしてくれていた、強力なブレーキが失われることで、血液中のLDLコレステロール値は、面白いように上昇を始めます。それまで健康診断で異常を指摘されたことがなかった人でも、閉経を境に、突然、脂質異常症と診断されるケースは、非常に多いのです。そして、この時期を境に、女性の動脈硬化のリスクは、男性に追いつき、追い越していきます。「若い頃は大丈夫だったから」「私はコレステロールとは無縁だわ」という、過去の栄光は、更年期以降の女性には、もはや通用しません。むしろ、その急激な変化ゆえに、男性以上に、意識的な管理が必要となるのです。更年期は、女性の体にとって、大きな転換期です。これまで以上に、定期的な健康診断を欠かさず、もし数値に異常が見られた場合は、年齢的な変化と諦めずに、速やかに医療機関を受診し、新たなステージに向けた、健康管理をスタートさせることが、何よりも重要となるのです。

  • 脂質異常症で病院へ行く前に準備すべきこと

    知識

    つらい自覚症状がないからこそ、つい後回しにしがちな、脂質異常症での病院受診。しかし、せっかく意を決して病院へ行くのであれば、その一度の診察を、最大限に有意義なものにしたいものです。限られた診察時間の中で、医師に、あなたの体の状態を正確に、そして効率的に理解してもらうためには、実は、病院に行く「前」の、ほんの少しの準備が、非常に大きな役割を果たします。ここでは、受診がスムーズに進み、より的確な診断と、あなたに合った治療方針の決定に繋がるための、準備のポイントを解説します。まず、絶対に忘れてはならない、最も重要な持参物が「健康診断の結果票」です。特に、今回の結果だけでなく、過去数年分の結果票があれば、あなたの脂質の値が、どのように推移してきたのかという、貴重な時系列データとなり、医師が病状の進行度を判断する上で、極めて重要な情報となります。次に、もし他の病気で治療を受けている場合は、「お薬手帳」も必ず持参しましょう。薬の飲み合わせなどを確認する上で不可欠です。これらの持参物に加えて、あなた自身の「生活習慣に関する情報」を、簡単なメモにまとめておくと、問診が驚くほどスムーズに進みます。医師が知りたいのは、主に以下の五つのポイントです。①「食生活の概要」:外食の頻度、肉や揚げ物、甘いものをどれくらい食べるか、野菜は好きか、など。②「運動習慣」:週に何回、どのくらいの時間、どんな運動をしているか(あるいは、全くしていないか)。③「喫煙・飲酒の習慣」:一日に吸う本数や、飲むお酒の種類と量。④「自覚症状」:めまいや動悸など、気になる症状があれば(なくても「特になし」と伝えることが重要)。⑤「家族の病歴」:あなたの両親や兄弟に、心筋梗塞や脳梗塞、あるいは高コレステロール血症になった人がいるか。これらの情報は、あなたの動脈硬化のリスクを、より正確に評価するために、医師がパズルのピースを組み合わせるようにして使われます。また、診察の最後に、「何か質問はありますか?」と聞かれた時に、慌てないように、自分が不安に思っていることや、聞いておきたいことを、予めリストアップしておくのも良いでしょう。この一手間が、医師との良好なコミュニケーションを築き、あなた自身が、納得して治療に臨むための、確かな土台となるのです。

  • 何科に行けばいいかわからない時、無料で相談できる窓口とは?

    生活

    ある日突然、体に不調が現れた時、「この症状はいったい何科に行けばいいんだろう?」と途方に暮れてしまうことは、誰にでも起こりうることです。腹痛一つとっても、内科なのか、消化器内科なのか、あるいは婦人科や泌尿器科なのか、原因によって受診すべき診療科は多岐にわたります。間違った科を受診してしまうと、時間や費用が無駄になるだけでなく、適切な治療を受ける機会を逃してしまう可能性もあります。かといって、気軽に病院に電話して相談するのも気が引ける。そんな時に、非常に頼りになるのが「無料で利用できる相談窓口」の存在です。これらのサービスは、私たちの税金で運営されている公的な電話相談事業や、近年急速に普及している民間のオンラインサービスなど、様々な形で提供されています。例えば、急な病気やけがで救急車を呼ぶべきか迷った時に相談できる「#7119(救急安心センター事業)」や、夜間の子どもの急な体調不良に専門家がアドバイスをくれる「#8000(小児救急電話相談)」は、国や自治体が主導する代表的な公的サービスです。また、スマートフォンやパソコンを使って、症状を入力するだけで関連する病気や適切な診療科を提示してくれるAI(人工知能)を活用した症状検索エンジンも、24時間いつでも無料で利用できる便利なツールとして注目されています。これらの無料相談サービスは、あくまで受診の目安を示したり、応急手当のアドバイスをしたりするものであり、電話やチャットだけで病気の「診断」や「治療」を行うことはできません。しかし、専門的な知識を持つ人に話を聞いてもらえる、あるいは客観的な情報を提供してもらえるというだけで、大きな安心感が得られ、次に取るべき適切な行動への大きな一歩となります。この記事シリーズでは、これらの無料相談窓口の種類や特徴、そして賢い使い方について詳しく解説していきます。

  • ヘルパンギーナとはどんな病気?

    医療

    夏になると、子どもたちの間で決まって流行し、多くの保護者を悩ませる感染症、いわゆる「夏風邪」。その代表格であり、特に強烈な症状で知られるのが「ヘルパンギーナ」です。この病気は、主にエンテロウイルス属に分類されるウイルス群、その中でも特に「コクサッキーウイルスA群」の複数の型が原因となって引き起こされます。感染力が非常に強く、ウイルスが付着したおもちゃの共有や、くしゃみの飛沫などを介して、保育園や幼稚園、小学校といった集団生活の場で急速に感染が拡大します。例年、湿度と気温が上がる5月頃から患者数が増え始め、7月から8月の真夏に流行のピークを迎えます。患者の90%以上が5歳以下の乳幼児であり、特に1歳代での発症が最も多いとされています。多くの子どもにとって「初めての高熱」となることも少なくありません。ヘルパンギーナの最も特徴的な症状は、何の前触れもなく突然現れる38度から40度の高熱と、それに伴う強烈な「喉の痛み」です。この喉の痛みは、ウイルスが喉の奥、特に口蓋垂(のどちんこ)の周辺や上顎の柔らかい部分(軟口蓋)に、多数の小さな水ぶくれ(小水疱)と、それが破れた後の潰瘍(口内炎)を形成することによって引き起こされます。この痛みのために、子どもは食事や水分を摂ることを嫌がり、機嫌が非常に悪くなるだけでなく、脱水症状に陥る危険性もあります。ヘルパンギーナの原因はウイルスであるため、インフルエンザのような特効薬(抗ウイルス薬)は存在しません。そのため、治療は基本的に、高熱や喉の痛みといったつらい症状を和らげるための「対症療法」が中心となります。通常は、発症から1週間程度で自然に回復に向かう予後良好な疾患ですが、その間の症状は非常に強く、看病する家族にとっては心身ともに負担の大きい病気と言えるでしょう。

  • 相談前にやっておきたい「症状のセルフチェック」と伝え方のコツ

    知識

    何科に行けばいいか、あるいは#7119などの電話相談を利用する際に、自分の体の状態を的確に、そして簡潔に伝えることは、より正確なアドバイスを得るために非常に重要です。しかし、いざとなると、痛みや不安で頭が真っ白になり、うまく説明できないことも少なくありません。そこで、病院に行く前や電話をかける前に、少し落ち着いて「症状のセルフチェック」を行い、情報を整理しておくことをお勧めします。この準備が、その後の全てのプロセスをスムーズに進める鍵となります。症状を整理する際のポイントは、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を医療版に置き換えて考えることです。具体的には、以下の項目についてメモを取るなどしてまとめておくと良いでしょう。①いつから(When): その症状はいつ始まりましたか?(例:昨日の夜から、3日前から、1時間前から)②どこが(Where): 体のどの部分に症状がありますか?(例:お腹全体、右下腹部、こめかみ、胸の中央)③どのように(How): どんな症状ですか?痛みの場合は、その性質を具体的に表現しましょう。(例:ズキズキと脈打つような痛み、キリキリと差し込むような痛み、締め付けられるような重苦しい感じ、ピリピリしびれる)④どんな時に(When/What): 症状が強くなったり、楽になったりするのはどんな時ですか?(例:体を動かすと悪化する、食事をすると痛む、安静にしていると楽、朝起きた時が一番つらい)⑤他にどんな症状が(What else): 主な症状以外に、他に気になることはありますか?(例:発熱、吐き気、下痢、めまい、しびれ、発疹など)⑥持病や服用中の薬、アレルギーなど(Who/Background): 現在治療中の病気や、普段飲んでいる薬(市販薬やサプリメントも含む)、アレルギーの有無、女性の場合は妊娠の可能性なども重要な情報です。これらの情報を事前に整理しておくことで、電話相談員や医師に、要点を押さえて、かつ冷静に状況を伝えることができます。これにより、相手も状況を正確に把握しやすくなり、より的確な判断やアドバイスに繋がるのです。診察時間の短縮にもなり、結果的に自分自身の利益となります。ぜひ、この「セルフチェック」を習慣づけてみてください。

  • なぜ夏は下痢をしやすい?考えられる4つの主な原因

    医療

    うだるような暑さが続く夏。多くの人が夏バテや熱中症に気を配りますが、同時に「お腹の不調」、特に「下痢」に悩まされる人が急増する季節でもあります。なぜ、夏になると私たちの胃腸はデリケートになってしまうのでしょうか。その背景には、夏特有の生活習慣や環境が複雑に絡み合っています。夏の不調を乗り切るためには、まずその原因を正しく理解することが不可欠です。夏の主な原因は、大きく分けて4つ考えられます。第一に、「冷たい飲食物の過剰摂取」です。猛暑の中で、つい冷たいジュースやビール、アイスクリームやかき氷などを一気に摂りがちですが、これが胃腸を直接冷やし、消化機能を著しく低下させてしまいます。第二に、「冷房による体の冷えと自律神経の乱れ」です。屋外の炎天下と、キンキンに冷えた室内の急激な温度差は、体温調節を司る自律神経に大きな負担をかけます。自律神経が乱れると、胃腸の正常な蠕動(ぜんどう)運動がコントロールできなくなり、下痢や便秘を引き起こすのです。これは「冷房病(クーラー病)」とも呼ばれます。第三に、高温多湿の環境がもたらす「感染性胃腸炎(食中毒)」のリスク増大です。夏は、サルモネラ菌やカンピロバクターといった細菌が増殖するのに最適な季節です。バーベキューやアウトドアでの食事、作り置きのお弁当など、食品が傷みやすい状況が増えることも、食中毒のリスクを高めます。そして第四に、「寝冷え」です。熱帯夜にエアコンや扇風機をつけたまま寝てしまうことで、知らず知らずのうちにお腹を冷やし、腸の動きが過剰になって下痢を引き起こしてしまいます。これらの原因は、単独で影響することもあれば、複合的に絡み合って胃腸の不調を招くこともあります。この記事シリーズでは、これらの原因を一つずつ掘り下げ、それぞれのメカニズムと具体的な対策について詳しく解説していきます。夏のつらい下痢を予防し、快適な毎日を送るための知識を身につけましょう。

  • 乾いた咳が長く続く「非定型肺炎」マイコプラズマとクラミジア

    医療

    高熱と咳が続くものの、肺炎球菌などによる典型的な肺炎とは少し様子が違う。痰はあまり絡まず、コンコン、ケンケンといった乾いた咳が、一度出始めると止まらなくなるほどしつこく続く。胸のレントゲンを撮っても、肺炎に特徴的なハッキリとした影が見られないこともある。このような場合に疑われるのが、「非定型肺炎」です。非定型肺炎とは、その名の通り、典型的な肺炎とは異なる特徴を持つ肺炎の総称で、その主な原因となるのが「マイコプラズマ」と「クラミジア」という微生物です。これらの微生物は、細菌とウイルスの中間のような性質を持ち、一般的な細菌性肺炎の治療に用いられるペニシリン系やセフェム系の抗生物質が効かない、という大きな特徴があります。特に「マイコプラズマ肺炎」は、幼児から若い成人に多く見られ、学校や家庭内などで集団感染を起こすこともあります。潜伏期間が2~3週間と長く、初期は発熱、倦怠感、頭痛といった症状で始まり、少し遅れてから、頑固で激しい乾いた咳が出現します。熱は、38度以上の高熱が続くこともあれば、微熱が長引くこともあり、様々です。喉の痛みも強く、全身症状が強い割には、聴診やレントゲンでの所見が乏しいことも、この病気の特徴です。一方、「クラミジア肺炎」も同様に、乾いた咳と発熱が主な症状ですが、高齢者にも比較的多く見られ、嗄声(声がれ)を伴うことが多いとされています。これらの非定型肺炎が疑われる場合、受診すべきは「内科」または「呼吸器内科」です。診断のためには、血液検査でマイコプラズマやクラミジアに対する抗体の量を測定したり、近年では喉のぬぐい液などを用いた遺伝子検査(PCR法など)が行われたりします。治療には、これらの微生物に有効な、特殊なタイプの抗生物質が必要です。具体的には、「マクロライド系」(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)や、「テトラサイクリン系」(ミノサイクリンなど)、「ニューキノロン系」の抗生物質が用いられます。適切な抗生物質を服用すれば、劇的に症状が改善することが期待できます。原因不明のしつこい咳と熱が続く場合は、非定型肺炎の可能性も念頭に、専門医の診察を受けることが重要です。

  • ヘルパンギーナと手足口病の喉の違い

    医療

    夏に流行する子どもの感染症で、高熱と口の中の発疹を特徴とするものに、ヘルパンギーナとよく似た「手足口病」があります。どちらも同じエンテロウイルス属のウイルスが原因となることが多く、症状も似ているため、保護者の方が混乱することも少なくありません。しかし、それぞれの病気には、特に発疹が現れる場所に明確な違いがあり、それが鑑別の重要なポイントとなります。最も大きな違いは、その名の通り、発疹が「喉の奥に限局するか、手足にも広がるか」という点です。ヘルパンギーナの発疹(水疱や潰瘍)は、原則として口の中、それも喉の奥の、上顎の柔らかい部分(軟口蓋)や、のどちんこの両脇(口蓋弓)といった部分に集中して現れます。手や足、体の他の部分に発疹が出ることはありません。一方、手足口病の場合は、口の中の発疹に加えて、その名の通り「手のひら」や「足の裏、足の甲」、さらには「お尻」や「膝」などにも、米粒大の赤い発疹や水ぶくれができます。したがって、子どもが喉の痛みを訴えた際には、必ず手と足の裏を確認することが、鑑別の第一歩となります。また、口の中の発疹の分布にも、若干の傾向の違いが見られます。ヘルパンギーナは、前述の通り喉の「奥」が主戦場ですが、手足口病の場合は、喉の奥だけでなく、舌や頬の内側の粘膜、歯茎といった、より口の「前方」にも発疹ができやすいという特徴があります。ヘルパンギーナの痛みは主に嚥下痛ですが、手足口病では舌や頬の潰瘍の痛みで、食事そのものが困難になることもあります。どちらの病気もウイルス性のため、治療法は対症療法が中心という点では同じですが、症状の広がりを正しく理解しておくことが、適切なケアに繋がります。

  • 大人の耳下腺炎、熱なしでも要注意?考えられる原因と診療科

    医療

    ある日、鏡を見ると、片方あるいは両方の耳の下から顎にかけての部分、いわゆる「耳下腺」がぷっくりと腫れている。しかし、熱はなく、体もだるくない。このような「熱なしの耳下腺炎」は、特に大人に起こると「ただの腫れだろう」と様子を見てしまいがちですが、その背後には様々な原因が隠れている可能性があり、自己判断は禁物です。耳下腺は、唾液を産生する三大唾液腺の中で最も大きい器官であり、ここに炎症が起こった状態を「耳下腺炎」と呼びます。一般的に「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」が有名ですが、これはムンプスウイルスによる感染症で、通常は高熱を伴います。では、熱が出ない耳下腺の腫れは、一体何が原因なのでしょうか。考えられる原因は多岐にわたります。最も多いのは、おたふくかぜ以外のウイルスや細菌が原因となる「化膿性耳下腺炎」や、口の中の常在菌が原因となる「反復性耳下腺炎」です。また、唾液の通り道である導管に石が詰まる「唾石症」や、自己免疫の異常が関わる「シェーグレン症候群」、アレルギー反応、さらには稀ですが「耳下腺腫瘍」の可能性も考慮しなければなりません。このように、熱がないからといって、必ずしも軽症であるとは限りません。原因によって治療法は全く異なり、中には専門的な検査や長期的な管理が必要な病気もあります。耳下腺の腫れに気づいた時に、まず受診すべき専門診療科は「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科医は、唾液腺の構造と病気に精通しており、触診や超音波(エコー)検査、CT検査などを用いて、腫れの原因を正確に診断することができます。この記事では、大人が経験する「熱なしの耳下腺炎」の様々な原因とその特徴について、詳しく解説していきます。