首の痛みに悩んだら、まず何科?原因を見極めるための診療科選び
長時間のデスクワークやスマートフォンの操作、あるいは朝起きた時の寝違えなど、多くの人が日常的に経験する「首の痛み」。このありふれた症状の裏には、単純な筋肉の疲労から、骨や神経の深刻な病気、さらには内臓のトラブルまで、実に多岐にわたる原因が隠されています。そのため、適切な治療を受けるためには、自分の首の痛みの原因が何であるかを推測し、正しい診療科を選ぶことが何よりも重要になります。結論から言うと、首の痛みの診断と治療において、中心的な役割を担う診療科は「整形外科」です。整形外科は、首の骨(頸椎)や、その間にある椎間板、そして首周りの筋肉や靭帯といった「運動器」の専門家であり、首の痛みの原因の多くがここに集約されます。寝違えや、加齢による頸椎の変形、頸椎椎間板ヘルニアなどがその代表です。しかし、症状によっては、他の診療科の受診が必要となるケースもあります。例えば、手足のしびれや歩行障害といった神経症状が強い場合は、「脳神経外科」や「脳神経内科」が関わってきます。また、発熱やリンパ節の腫れを伴う場合は、感染症などを考え「内科」や「耳鼻咽喉科」が、強いストレスが関与している場合は「心療内科」が選択肢となることもあります。さらに、稀ではありますが、心臓の病気(狭心症など)の痛みが首に放散することもあるため、その場合は「循環器内科」での精査が必要です。このように、首の痛みは体からの重要なサインであり、どの診療科を受診すべきかを見極めるためには、痛みの性質や始まったきっかけ、そして他にどのような症状があるかを注意深く観察することが非常に重要になります。この記事シリーズでは、症状別に考えられる原因と、それぞれに対応する専門診療科について詳しく解説していきます。