大人が高熱と咳に襲われた時、多くは自宅での休養と対症療法で回復に向かいますが、中には医療機関での治療が不可欠なケースや、緊急を要する危険な病気が隠れている場合もあります。ここでは、どのような症状があれば「ただの風邪」と自己判断せず、病院を受診すべきか、その「危険なサイン(レッドフラッグサイン)」についてまとめます。これらのサインを見逃さないことが、重症化を防ぎ、早期回復に繋がる鍵となります。まず、最も重要なサインが「呼吸の状態」です。「安静にしていても息が苦しい、息切れがする」「肩で息をしている、呼吸の回数が異常に速い」「会話をするのもつらい」「横になると息苦しさが増す」といった呼吸困難の症状は、肺炎や心不全など、肺や心臓に重大な異常が起きている可能性を示唆します。次に、「胸の痛み」です。深呼吸や咳をした時に、胸にズキっとした鋭い痛みが走る場合は、肺炎が肺を包む胸膜にまで及んでいる(胸膜炎)可能性があります。また、胸の中央が締め付けられるような痛みが続く場合は、心筋炎などの心臓の合併症も考えられます。色のついた「痰」も重要な手がかりです。「黄色や緑色の膿のような痰」や、「錆び色(血が混じった)の痰」が出る場合は、細菌性肺炎の可能性が高いです。また、「意識の状態」にも注意が必要です。「高熱で意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い」「意味不明なことを言う」といった意識障害は、脳炎や脳症、あるいは敗血症といった極めて危険な状態のサインです。その他にも、「38.5度以上の高熱が3日以上続く」「水分が全く摂れず、ぐったりしている」「唇や顔色が悪く、紫色になっている(チアノーゼ)」といった症状が見られた場合は、重症化の兆候です。これらの危険なサインが一つでも当てはまれば、様子を見ずに、直ちに「内科」または「呼吸器内科」を受診してください。夜間や休日であれば、救急外来の受診もためらってはいけません。病院に行くべきか迷った場合は、#7119(救急安心センター事業)などの電話相談窓口を利用するのも良い方法です。つらい症状を我慢せず、専門家の助けを借りることが、あなた自身の健康を守る上で最も大切な行動です。