高熱と咳が数日間続き、次第に黄色や緑色、あるいは錆び色のような、色のついたネバネバした痰(膿性痰)が出るようになってきた。そして、深呼吸をしたり、咳き込んだりすると、胸にズキっとした痛みが走る。このような症状は、単なる気管支炎ではなく、感染が肺の奥深くにある「肺胞」という組織にまで及んでいる「肺炎」を強く疑うべきサインです。肺炎は、日本の死因の上位を占める疾患であり、特に高齢者や、心臓病、糖尿病、呼吸器疾患などの持病がある人にとっては、命に関わることもある危険な病気です。肺炎の主な原因は、「肺炎球菌」や「インフルエンザ菌」といった細菌による「細菌性肺炎」です。多くは、風邪やインフルエンザによって気道の防御機能が低下した際に、喉や鼻に常在していた細菌が肺に侵入することで発症します。ウイルスそのものが原因となる「ウイルス性肺炎」もありますが、細菌性肺炎はより重症化しやすい傾向にあります。肺炎の典型的な症状は、38度以上の高熱、激しい咳、膿性の痰、そして胸の痛みです。炎症が肺を包む胸膜にまで及ぶと、胸痛はさらに強くなります。また、肺での酸素交換がうまくいかなくなるため、「息切れ」や「呼吸困難」、脈が速くなる(頻脈)、血液中の酸素不足で唇や顔色が悪くなる(チアノーゼ)といった症状も見られます。肺炎が疑われる場合、受診すべき診療科は「内科」、より専門的な診断と治療を求めるなら「呼吸器内科」です。診断のためには、「胸部X線(レントゲン)撮影」が不可欠です。レントゲン写真で、肺に白い影(浸潤影)が確認されることで、肺炎の診断が確定します。また、血液検査で炎症反応(CRPや白血球数)の程度を調べたり、痰を採取して原因となっている細菌を特定する「喀痰培養検査」を行ったりすることもあります。細菌性肺炎の治療の根幹は、「抗生物質」の投与です。原因菌に有効な抗生物質を早期に開始することが、重症化を防ぐ鍵となります。軽症であれば外来での内服治療も可能ですが、呼吸状態が悪い、脱水症状がある、あるいは高齢者などの場合は、入院して抗生物質の点滴投与や、酸素吸入などの治療が必要となります。たかが咳、たかが風邪と侮らず、これらの危険なサインを見逃さないことが非常に重要です。