夏に突然の下痢に襲われた時、適切な対処法を知っているかどうかで、その後の回復の速さや苦痛の度合いが大きく変わってきます。間違った自己判断は、かえって症状を悪化させることもあるため、正しい知識を身につけておくことが重要です。下痢の時に最も警戒しなければならないのは「脱水症状」です。下痢便と共に、体内の水分と、ナトリウムやカリウムといった生命維持に不可欠な電解質が大量に失われるため、これらを速やかに補給することが何よりも大切です。水分補給の際に最適なのが、「経口補水液」です。経口補水液は、水分と電解質、そして糖分が、体に最も吸収されやすいバランスで配合されています。薬局などで手軽に入手できるので、夏場は家庭に常備しておくと安心です。水やお茶だけでは、電解質が不足してしまうため、下痢の時の水分補給としては不十分です。飲む際は、一気にがぶ飲みせず、少量(一口ずつ)を、こまめに、時間をかけて飲むのがポイントです。食事は、症状が落ち着くまでは無理に摂る必要はありません。食欲が出てきたら、おかゆや雑炊、よく煮込んだうどん、すりおろしたリンゴ、バナナ、豆腐など、消化が良く、胃腸に負担をかけないものから始めましょう。逆に、脂っこいもの、食物繊維の多い野菜、香辛料の効いた刺激物、乳製品、冷たいものは、症状が改善するまで避けるべきです。そして、自己判断で「下痢止め(止痢剤)」を使用することには、慎重になる必要があります。特に、食中毒などの感染性胃腸炎が疑われる場合、下痢は、体内の細菌や毒素を体外に排出しようとする体の重要な防御反応です。これを無理に薬で止めてしまうと、病原体が腸内に留まり、症状が悪化したり、回復が遅れたりする危険性があります。では、どのような場合に病院を受診すべきなのでしょうか。以下の「危険なサイン」が見られた場合は、直ちに内科や消化器内科を受診してください。・嘔吐を伴い、水分が全く摂れない・38.5度以上の高熱が続く・我慢できないほどの激しい腹痛がある・便に血液や粘液が混じっている(血便)・下痢の回数が非常に多く、ぐったりしている・唇がカサカサ、尿がほとんど出ないなど、明らかな脱水の兆候がある。これらの症状は、重症の感染症や、他の病気の可能性を示唆します。特に、子どもや高齢者は重症化しやすいため、早めの対応が肝心です。
つらい夏の下痢、正しい対処法と病院受診の危険なサイン