熱のない耳下腺の腫れで「耳鼻咽喉科」を受診した場合、医師は原因を特定するために、どのような診察や検査を行うのでしょうか。その一連の流れを知っておくことで、安心して診察に臨むことができます。まず、診断の基本となるのが、患者さんからの詳しい「問診」です。医師は、「いつから、どちら側が腫れていますか?」「腫れは大きくなっていますか?」「痛みや熱はありますか?」「食事の時に症状が強くなることはありますか?」「口や目の乾き、他の体の不調はありますか?」といったことを詳しく質問します。症状の経過や伴う症状が、原因を推測する上で非常に重要な手がかりとなります。次に、「視診」と「触診」が行われます。医師は、耳の下から顎にかけての腫れの範囲や硬さ、表面の状態、赤みや熱感の有無を、目で見て、そして手で触れて確認します。また、口の中を観察し、耳下腺の唾液の出口である「耳下腺乳頭(頬の内側、上の奥歯のあたり)」が赤く腫れていないか、そこを圧迫して膿や異常な唾液が出てこないかをチェックします。この段階で、炎症性の疾患か、腫瘍性の疾患か、ある程度の見当がつきます。さらに、より客観的な評価のために、いくつかの検査が行われます。まず、ほとんどのケースで実施されるのが「超音波(エコー)検査」です。これは、ゼリーを塗った皮膚の上から超音波の出る機械を当てる、体に全く負担のない検査です。耳下腺内部の状態をリアルタイムで観察でき、腫れが全体的な炎症によるものか、限局したしこり(腫瘍)なのか、あるいは唾石や膿の塊があるのか、といったことを詳細に評価することができます。唾石症や腫瘍が疑われる場合には、さらに詳しく調べるために「CT検査」や「MRI検査」といった画像検査が追加されることもあります。これらは、腫瘍の正確な位置や大きさ、周囲の組織との関係を立体的に把握するのに役立ちます。原因としてシェーグレン症候群などの自己免疫疾患が疑われる場合には、自己抗体の有無などを調べるための「血液検査」が行われます。そして、腫瘍が疑われる場合には、診断を確定させるために、細い針でしこりの細胞を採取する「穿刺吸引細胞診」が行われます。これらの検査結果を総合的に判断し、最終的な診断を下し、それぞれの病気に合った治療方針が決定されるのです。
病院で行われる診断の流れ、耳鼻咽喉科での検査とは